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山中廃徊記

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2016年05月

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行者谷の謎を探る 5

前回までの各種の資料や現地調査を基に考えると、行者谷に車道はなかった(少なくとも出合いから500mほどは)と結論せざるをえません。
最大の根拠は、地形の険しさとその地形を改変して車道を作ろうとした痕跡がまったくないことです。
ここに車道の記号を入れたのはなぜか、ということについて国土地理院に問合せ中ですが、まだ返事はありません。

そこで、ちょっと先走り気味ですが、考え得る行者谷の当時の姿について次の地図にまとめてみました。
あくまで個人的な空想の地図であって、真実の姿ではないかもしれませんが、また一方でそんなに遠く乖離した姿でもないと思っているのですが…

イメージ 1

①〜④は空中索道があったと思います。ただ③と④についてはこのような林業用の
モノレールであったかもしれません。イメージ 2
施設・撤去が容易で痕跡を残しにくいという利点があるので、全く痕跡がなくても不思議ではないですね。
その奥の林道か軌道跡と推測される部分もあるいはこのようなモノレールであったかもしれません。なにせ、入り口がこんな状態ですから奥に林道があっても車を持ち込めないので。
緑色の軌道跡に関しては、路盤が現存しておりレールなども残されているのでその存在について疑問の余地はありません。そして、青と緑を結ぶのがこの廃橋です。イメージ 3

「e-konの道をゆく」に、この辺りを管轄する彦根市犬上郡営林組合に問い合わせた結果が述べられています。それによると…
『山中に残るレールやワイヤーなどは、やはり木材を運び出すための索道など諸施設のもので、これも担当業者が伐採する場所の状況に応じてその都度』作ったものだそうです。痕跡が残りにくいわけです。

林道であったか軌道であったか、モノレールであったかは今となってはわかりませんが、次回探索時に探してみようと思っています。

と言いつつ、次回へ〜今度こそ最終回の予定


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行者谷の謎を探る 4

ここに2枚の航空写真A・Bがあります。ともに行者谷付近が写っているのでほぼ同じ範囲、縮尺で切り出したものがその下の①・②です
①・②には各種資料から推察される項目を描き込んであります。
(写真は国土地理院図歴閲覧サービスより転載)

A.昭和23年 米軍撮影
イメージ 3

B.昭和42年撮影
イメージ 4

イメージ 1

「e-konの道をゆく」の記述通り権現谷林道は行者谷の手まえの広場のようなところで終わっているように見えます。ところが、その先もずっと続いているようにも見えます。しかしこれは白い石灰岩の涸れ谷が道に見えているだけです。なぜそう言えるのか、答えは簡単です。権現谷林道はこんなに太くないのです。
左の方の林道と河原とを示した部分、拡大してみると河原の幅の方が3倍近くあるのがわかります。
そして行者谷でも、やはり白く太い道があるように見えますが、これも河原です。
時は昭和23年、まだ大規模な伐採の行われる前の話です。この谷もほぼ手つかずであったことでしょう。

イメージ 2

やはり河原と林道の幅の違いに留意してください。
昭和42年といえば盛んに材木の切り出しが行われていた時期で行者谷にもいろいろ変化があります。出合いのaと、589m独標b(以前の現地調査で多数のワイヤーが残されていたところ)に集積場が設けられています。c地点にも集積場があったようですが確認できませんでした。e-b間にも多数のワイヤーが残されていました。
dは現地調査の際最後に休憩した地点です。この近辺にもワイヤーが随所に放置されています。そしてこの辺りから上流は両岸がやや緩やかになり、所々に林道か軌道の跡とおぼしき道形が見られるようになります。

行者谷が水平道と交差するところには橋が残されていたのでその両側には道があったはずであり、道形が残っていたとしても特に不思議なことではありません。

なお楕円で囲った部分、中央下から右上に横切るごく薄い直線は、多賀町史附図に点線路として描かれているものと同一と思われ、未確認の集積場cに向かっています。
現地の地形から、徒歩道とは思えず索道だと考えております。

一枚の古い地図から始まった今回の謎。あの車道記号の道は存在したのか?
a-d間は存在しなかったがそれより上流には存在したと思っています。
存在したと思う理由は、現に道形が残っているから。
存在しないと思う理由は、その痕跡が全くないから。
次回、権現谷の真実(私が真実と考える「真実」というあやふやなものですが…)が明らかになる!!かも 乞うご期待



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本日休業いたしマス

この時期の花 コアジサイ

イメージ 1

イメージ 2


とても良い香りがします。

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行者谷の謎を探る 3

イメージ 1さて、多賀町史の附録のこの地図ですが
いったいいつ頃のものでしょうか。
(年号はとくに断りのない限り昭和です
なお、今回の記事を書くにあたって、滋賀近辺の林道をこよなく愛しておられる「e-kon」様の主宰されるHP「e-konの道をゆく」を大いに参考にさせていただきました。快く引用を許可していただいた管理人様に感謝いたします)

手元にある地図の全体を眺めていると、年代を特定する手がかりになりそうな表記がいくつか見つかります。たとえば…
①「上石津」と表記されている
②権現谷林道はまだ全線開通していないものの、落岩橋を越え国道306号まであと
   およそ4.5㎞の地点まで描かれている
③等高線の間隔が10mなのでイメージ 3
   25000分の1図と思われる

①は牧田・一之瀬・多良・時の4村が合併し上石津ができたのが30年。のちに町制を施行し上石津となるのが44年。
これと③を合わせて考えると、43年改測図以前の地形図であると思われます。(この次の49年修正図では上石津に修正されています)


イメージ 2
②についてですが、「e-konの道をゆく」には次のように述べられています。
『まず昭和17年に妛原から行者谷付近までの2kmが開通。その後長い空白期間をおいて、昭和31年、32年度に白谷県有林まで、そして昭和40年から56年度の工事で国道306号線までがつながり、ようやく全線12.549kmが開通する』
するとこの地図は40年以前のものではないということです。

この条件を満たすのは、43年改測・45年発行のものだけです。
ということは43年当時、すでにここに橋があり車道があったということになります。
しかも仮設のものではなく、地図に載るほどに半恒久的な橋であり、道路であったというわけです。

62年刊行の「鈴鹿の山と谷 第一巻」の中で、著者の西尾寿一氏は「支谷(行者谷)の出合いには丸太が山のように積まれ」ていたと述べておられます。さかんに木材が切り出されていたようです。車道があったならば大活躍していたはずです。しかし同書ではまた「支谷には杣道があり奥まで続いている」とあるのみで、車道については一切言及されていません。これはいささか不自然ではないでしょうか?

と、またまた疑問を残しつつ次回へ

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行者谷の謎を探る 2

ではまず恒例(?)の現地調査をすることにしましょう。探索範囲は下の地図の赤線部分。

イメージ 11

出合いから①までこんな感じの谷です

イメージ 12

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

地図が正しいとすると、谷に沿って右岸の5mほどの高さに車道があったはず。
そのような痕跡はありません。下から見てるだけではわからないかも…ということで
①から右岸の△598mのピークに直接登ってみることにします。
とはいうものの、ここ、距離は280mほどなんですがその間に223mも高度を稼がなければならないのです。苦手な算数の計算をしてみると角度はほぼ60°!
体感的には垂直です。写真ではそうは見えませんけどね。

イメージ 4

途中、左右をキョロキョロしてみますがやはり痕跡なし。ただ古いワイヤーが随所に残されています。
やっと△598mまで来ました。④の地点です。

イメージ 5

なかなかいい感じです。ヒルが居そうなので昼寝はしてません。
で、ここには残置ワイヤーがたくさんあります。

イメージ 6

そこである推論ができるわけですが、それはまた後程。
さてここを再び降りるのはちょっと勘弁…なので、このピーク北側の水平道を利用して③の地点まで移動します。この水平道、レールの残骸なども残っており軌道跡であったといわれています。ほぼきれいな状態で残っています。
③に着きました。行者谷の奥、重谷と呼ばれるところです。かなり広い平地ですね。

イメージ 7

そこにあるのが、どこかで見たようなこの廃橋です。

イメージ 8

先を急ぎます。今度はここから行者谷を下ります。
二俣に出てきました。②の地点です。
このあたりは林道跡とおぼしきものが所々に残ってます。東のリョウシ、コザト方面にもその痕跡があります。この写真ではわかりませんが。

イメージ 9

さらに下ってここで休憩。もう少しでさっき別れた①地点です

イメージ 10

この辺りにも残置ワイヤーが散見されます。
で、間もなく無事に戻ってまいりました。
どうでしょう。車道があったように思えるでしょうか?

と、疑問を呈しつつ次回へ続く



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